南里嘉壽 嘉十 染錦尺五大皿 幕府御用 明治政府御用 有田 伊万里

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文政・天保(1818-44)は、有田の陶業が大いに発展して、精巧な佳品を多く産出した時期にあたります。これは、当時泉山に深海乙吉、上幸平に辻喜平次、大樽に田代半次郎、白川に初代南里嘉壽という著名な陶業者が各地に輩出し、また赤絵町には今泉平兵衛もいて、それぞれが技巧を競った結果だと言われています。

幕末には幕府の御用品を制作したこともある二代の南里嘉壽は、明治に入ると、諸外国要人を迎えるために浜御殿に設立された日本で初めての迎賓館「延遼館」の洋食器の作成を明治政府より命じられ、雅やかでモダンな作品を多く納めました。因みに、有名な鹿鳴館はこの延遼館の後に建築された迎賓館です。南里は明治13年に63才で早逝していますので、残された作品はさほど多くはありません。1m前後の大花瓶などもいくつか制作していますが、その殆どが欧米に輸出されました。本作もアメリカで発見されたものです。

さて、本作は、二代南里嘉壽(嘉十)による染錦の大皿です。モチーフは旧来の唐人図ですが、大胆な構図や迷いなく一気に描き上げた松の大木は、白川の名工と謳われた南里嘉壽ならではの運筆です。寸法は、直径46cm、所謂尺五の大作です。
ワレ、カケ、ヒビなどの瑕疵のないとても良い保存状態です。

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